在塚勇人
(ありつか・はやと)
32歳男
　主人公。大都(だいと)市月本橋(げほんばし)区浜村(はまむら)の三流会社から仕事をもらっている貧乏フリーター。
色々な町に出張できることから旅行気分で仕事ができるというのを唯一の楽しみにしているが、待遇は極悪で給料振込みは常に停滞している。
三十路を迎えた現在では安定した生活を望むようになっているが、所詮フリーターはフリーター…正社員になれぬまま中途半端な人生を送っている。

井上知花
(いのうえ・ちか)
27歳女
　井上食堂の看板娘。生まれも育ちも若林の地元民だが、調理師免許を取得し実家を手伝い始めたのは父親が大都へ出稼ぎに行った後らしい。
店では明るく振舞っているが、どこか影がある。

井上綾
(いのうえ・あや)
52歳女
　井上食堂のおかみ。創業者で初代店主の実娘。婿入りした二代目店主の旦那と二人で食堂を続けてきたが、バイパスの開通で店先の道路は国道から格下げ。
更に大型ショッピングセンターのOPENで追い討ちを掛けられ、旦那は大都に出稼ぎする羽目になった。
　食堂は旧国道と駅前通りが交差する立地条件にありながら、駐車場が無いのが現代社会において致命的で、併設するアパートも長年空室となっている。